研究活動

日本歯周病学会発表(岩手県盛岡市)発表

- 平成22年 5月 -

日本歯周病学会にて福岡歯科大学・たなべ保存歯科・わかもと製薬(株)・九州大学との共同研究、「Lactobacillus salivarius 配合錠菓摂取による口臭と口腔内環境の変化について」の論文発表を行いました。

Lactobacillus salivarius 配合錠菓摂取による口臭と口腔内環境の変化について

乳酸菌は, ヒトの健康に有益な効果をもたらすプロバイオティクス機能を持つ微生物としてしばしば利用される。これまでに, 口臭患者にLactobacillus salivarius WB21 (LsWB21) 配合錠菓を摂取させ、口臭の原因物質である硫化水素とメチルメルカプタンが2 週間で有意に減少したことを報告した。本研究ではさらに対象者数を増やし, 生理的口臭と病的口臭における口臭と口腔内環境の変化について比較検討したので報告する。

[材料および方法]
20 名の真性口臭患者 (生理的口臭9 名, 病的口臭11 名) を対象とした。LsWB21 配合錠菓 (6.7×108 cfu/錠)を1 回1 錠, 1 日3 回 (毎食後), 2 週間連続摂取した。病的口臭患者のうち7 名については4 週間連続摂取した。ベースライン, 2週間後, 4 週間後に, 同条件下で口臭測定と口腔内診査を行った。

図説1図説2
なお本研究は福岡歯科大学・福岡医療短期大学倫理委員会の承諾を得て行った(許可番号 第125号)。
図説3

[結果および考察]
ベースラインでの比較では, 両群の口臭レベルに差はなく, 病的口臭群に高い男性の割合, 5ミリ以上の歯周ポケット, 歯周ポケットの平均, Porphyromonas gingivalis の検出率が認められた。LsWB21 配合錠菓摂取による2 週間後の変化では, 生理的口臭群で官能検査スコア, 硫化水素, メチルメルカプタンが, 病的口臭群では硫化水素と唾液潜血が有意に減少した。7名の病的口臭群について4 週間後とベースラインを比較したところ, 官能検査スコアの有意な減少と刺激唾液量の有意な増加が認められた。またリアルタイムPCRを利用したLs の定量解析では,2 週間後, 4 週間後はベースラインに比較して有意に増加した。本研究の結果から, LsWB21 配合錠菓摂取は口腔内環境の改善を促し, 口臭のコントロールに有用であることが示唆された。

図説4図説5図説6
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